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帝王切開の出産~私の場合(入院生活編)

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「お産は病気じゃない」と言いますが、出産したら必ず入院することになります。

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期間は病院によって変化しますが、自然分娩でも帝王切開でも入院することに変わりはありません。
自然分娩の入院生活がどんなものかは、身の回りの人に簡単に聞くことが出来ますが、帝王切開だとどんな入院生活を送ることになるかはなかなか調べられない、どんなのか想像もつかないという意見も見受けられます。実際、筆者がそうでした。
入院中に何をするかは病院によって様々だとは思いますが、帝王切開の場合は術後の処置が最優先で行われ、赤ちゃんのお世話などは後回しにされます。
では、どんな入院生活を送るのか。また、帝王切開の出産費用や保険はどうなっているのかなどの素朴な疑問を、筆者の体験を中心に述べていきます。

1)自然分娩よりも帝王切開は入院期間が長くなる?

イギリス王室のキャサリン妃が日帰り出産をしたと話題になったことがありますが、日本では自然分娩でも帝王切開でも必ず入院することになります。日本は昔からこの辺りのケアには物凄く慎重な姿勢を持っているらしく、そのおかげで母子の死亡率も非常に低いのだといいます。
自然分娩の場合は大体5日間ほど、帝王切開の場合は8日間ほどです。(※産後の経過や病院の方針によって変化します)
なぜこんなに入院日数に違いがあるのかと言うと、帝王切開は術後すぐに動く事が出来ません。しばらくは麻酔も効いていますし、切った傷も縫合したばかりで油断は出来ません。『腹を切っている』わけですから、どうしても入院期間が長くなってしまうのです。

2)帝王切開の入院生活はどんな感じ?

筆者は2017年2月に帝王切開で出産して8日間入院してきました。その時、どんな入院生活を送っていたのかを書いて行こうと思います。
前提として、筆者が出産した病院は『母子同室』『完全個室』だったことをここに明記しておきます。

・0日目(手術当日)

手術のために点滴、導尿カテーテルを装着し、浣腸をします。この辺りのことは『帝王切開の出産(出産編)』参照。
術後病室に運ばれ、その日の夜に麻酔が切れ腹部の傷の痛みと子宮収縮の痛みで眠れなくなり、痛み止めを処方してもらいました。痛み止めは5時間有効ですが、切れるまで追加は出来ません。

・1日目

看護師さんに体を拭いてもらったり、産褥(さんじょく)ナプキンを交換してもらったりします。完全に要介護状態です。足は動かせますので、まずはベッドの上で膝を立てる等の簡単な運動をし、ベッドから起きて室内を2メートルほど歩いてみます。まだ体が重い感じがし、下半身と腹部に違和感があります。
手術前日から絶飲絶食状態ですが、おならが出るまでは食事が出来ません。この日は軽く水分を摂る事は許可されましたが、点滴で栄養を入れているせいか、そこまで食欲や水が飲みたいという気持ちにはなりませんでした。
この日の夜はまた傷の痛みで眠れなくなり、痛み止めを処方してもらいました。痛み止めをもらってやっと眠れるという状態です。

・2日目

室外にあるトイレまで(病室から7メートルほど)歩いて戻る運動をしました。この頃になると、腹部への違和感が無くなります。単純に体が慣れてしまったとも考えられますが…。部屋に赤ちゃんを連れて来てもらい、おむつの替え方や抱っこの仕方、授乳についての指導を受けました。この時、助産師さんに母乳が出てきているかの確認をしてもらい、滲む程度ですが一応は出て来ていたので軽く赤ちゃんに吸わせてみました。導尿カテーテルや点滴を入れていて授乳室に行けないため、部屋で助産師さんのサポートを受けながらの授乳になります。
この日、やっとおならが出ましたので夜から食事がスタートします。しかし、最初はぬるめのほうじ茶からです。

・3日目

点滴と導尿カテーテルが外れます。以後、自分でトイレに行って用を足すようになりますが、ずっとカテーテルを付けていたので違和感があります。
筆者は経過が順調ということで、この日から母子同室になりました。まだきちんと母乳が出てませんので、ミルクの作り方の指導を受けます。大体3時間おきに赤ちゃんにおっぱいを吸わせて、哺乳瓶でミルクを飲ませます。
赤ちゃんの世話以外は部屋でゴロゴロして過ごします。眠ったりテレビを見たり本を読んだり、ある程度自由に過ごすことが出来ます。

・4日目

傷の治りが順調だったので、シャワーを浴びる許可がおりました。午前中にシャワーを浴びて、一日のほとんどを赤ちゃんのお世話に費やします。この辺りから普通食になっていき固形物を食べるようになるので、お通じの具合を気にしていかないといけません。退院までに出なかったら、またあの強烈な浣腸をすることになります…最終的に筆者はあの浣腸をまたやってもらいました。お腹に力を入れられないので、自力で出すのは結構難しいです。
この日辺りから、傷の痛みよりも縫合している医療用ホチキスによって皮膚を引っ張られるような感覚に痛みを感じ始めました。

・5日目

沐浴についての指導を受けます。退院して一か月間は湯船ではなく、ベビーバスで沐浴をさせる必要がありますので、しっかり時間をかけて指導されました。(母親学級で指導する病院もあります)
基本的には一日中赤ちゃんのお世話とお見舞いに来た親族への対応、あとは眠って過ごしました。

・6日目

採血、採尿をおこないます。退院後の生活について助産師さんからお話があります。筆者の入院した病院では帝王切開の場合、一週間検診がありましたのでそれについての説明も受けました。夕方の回診で傷を縫合していた医療用ホチキスの抜鉤(ばっこう)をします。

・7日目

沐浴が正しく出来ているか助産師さんに最終チェックをしてもらいます。午前中に外来で子宮の状態や傷の状態を診察してもらい、ここで翌日に予定通り退院できるかの最終判断をしてもらいます。問題なかったので筆者は退院許可が出ました。
この日も赤ちゃんのお世話で一日が終わりますが、夜中の授乳についてなど助産師さんから指導を受けました。
夕食は豪華な祝い膳で、テンション上昇。元々食事が美味しいと評判の病院でしたが、病院で軽いコース料理が食べられるとは思いませんでした。

・8日目

午前中に外来で退院診察をし、赤ちゃんも小児科で診察を受けます。赤ちゃんが診察を受けている間、退院後の授乳について助産師さんと最終確認をします。診察などが済んだら、お昼前に退院です。

以上が筆者の入院生活です。母子同室でしたので、基本的にはずっと赤ちゃんのお世話をしていました。

3)帝王切開の出産 Q&A

帝王切開での出産について、色々な疑問が出て来ると思います。よくある疑問について、お答えしていきましょう。

Q1 傷の痛みはどんな感じでいつまで続く?後陣痛って何?

帝王切開はお腹と子宮を切り開いて赤ちゃんを取り出す出産方法ですので、切った場所は後になって痛くなってきます。ほとんどの人は「刃物でスパッと切られたような、切り傷のような痛み」を想像するかと思いますが、実際は「ずっしりと重たい、鈍痛のような感じ」「ビクビクと引きつるような痛み」といった感じです。いわゆる切腹のような「ぎゃあああ!痛いー!死んじゃうー!」といった痛みはありませんので、ご安心ください。
では帝王切開は「痛くない楽なお産」なのかと言うとそうではありません。帝王切開は『手術の後、長時間痛い思いをするお産』です。術後の痛みの一つに『後陣痛』というものがあります。これは自然分娩でもあるものなのですが、簡単に言うと大きくなった子宮が元に戻ろうと収縮運動をする時に出る痛みです。お腹から赤ちゃんが出て来たら、すぐにこれが始まります。帝王切開だと下半身は麻酔をしていますので、しばらくは何も感じませんが麻酔が切れてジワジワと後陣痛の痛みを感じることになります。どんな痛みかと言うと「物凄く酷い生理痛」といった感じです。自然分娩や緊急帝王切開の場合、出産直前の陣痛が強烈なので後陣痛の痛みは霞んでしまうと聞いた事があります。しかし、予定帝王切開だとあまり陣痛を味わう事はありません。ですので、後陣痛の痛みが霞むことなく味わうことになります。後陣痛は痛み止めで抑える事が出来ませんので、しばらくは少し痛い思いをする事になります。ですが、割とすぐに痛みは無くなりますのでご安心ください。
痛みとは違うかもしれませんが、出産から一か月経っても傷跡が下着に擦れて痛いとか、椅子から立ち上がった時に引きつるような違和感がある等の感覚はあります。

Q2 なんでしばらく食事が出来ないの?

『帝王切開の出産(出産編)』で、麻酔によって内臓の動きがストップしてしまうので前日から絶飲食になると述べました。術後にすぐ食事が出来ないのも、麻酔の影響によるところが大きいです。内臓機能が麻酔で一時的とは言え停止してしまいますので、まずは腸がきちんと動いているかを確認しなければなりません。腸が上手く動いてるかは「おなら」がきちんと出るかどうかで確認します。おならが出れば腸が問題なく動いてると判断され、絶飲食は解かれます。
だからと言って、すぐに普通の食事が出来るわけではありません。まずは『水分』から始まり、次に『重湯(おもゆ)』です。その後は3食濃度の違う粥を食べ、ようやく普通食になります。ですので、普通の食事ありつけるのは手術から数日経ってからになります。

Q3 帝王切開は保険適用?出産費用はいくらくらい?

自然分娩は保険適用になりませんが、帝王切開は手術ですので保険が適用され支払いは『3割負担』になります。それでもかなり高額になる事がありますので、『限度額適用認定証』を提出して自己負担額を抑えるようにすると良いでしょう。
『限度額認定証』とは、所得に応じて高額になった医療費の自己負担額を減らす事が出来るものです。保険組合から取り寄せなければいけないので、手術が決まった時点で申請をする必要があります。
所得に応じて限度額は変化しますので、どれくらいの金額を窓口で払うことになるかは人それぞれです。事前に認定証を提出し、出産一時金42万円も使って、筆者の出産費用は大体4万円程度でした。この4万円という数字は、退院時に窓口で支払った金額です。
『限度額適用認定証』が事前に提出できない場合は『高額療養費制度』というものが利用できます。こちらは自己負担限度額を越えてしまった場合、退院後に越えた金額分を給付されるというものです。緊急帝王切開だったり、認定証の提出が間に合わない時はこちらを利用すると良いでしょう。退院時に支払う額はちょっと高額になりますが、数か月後には越えた分の金額がもらえます。

Q4 帝王切開の出産って、結局痛いの?

こればっかりは人それぞれだと思います。しかし、筆者の個人的な感想を述べれば「痛みはあるけど、耐えられる痛み」でした。
出産で何が一番痛かったかと言うと、縫合していた医療用ホチキスを抜鉤した時です。こういう表現はあまり良くないかもしれませんが「陰毛を根本からピンセットで強く引っこ抜いていく感覚」に似ています。抜鉤している様子を見ることは出来ませんでしたが、たまに『ブチブチ…』といってるのが分かりました。おそらくブチブチ言っていたのは癒着した皮膚か何かだったのかもしれません。

Q5 帝王切開で出産したら、次も帝王切開?いつになったら次の子も産める?

筆者のように母体が自然分娩できない身体だった場合は、二人目も強制的に帝王切開になります。しかし、一人目は帝王切開で二人目は自然分娩で出産したという人もいますので、これはお母さんの体の状態などから医師が判断してくれると思います。
ではいつになったら次の妊娠も可能になるかと言うと、1~2年は時間を空けた方が良いと言われています。手術で子宮も切り開いてますので、子宮がきちんと回復するのを待つ必要があります。また、子宮は切り開いた傷の部分が薄くなってしまいますので、場合によっては子宮破裂を起こす心配もあります。このようなリスクがありますので、次の妊娠も望むなら一度医師に相談し、子宮の状態を診てもらってから判断した方が安全でしょう。
この辺りの事は、退院時の診察で医師や助産師から言われる事かもしれません。特に「1年間は絶対に避妊すること」というのはかなり強く言われました。

4)まとめ

帝王切開の出産、入院生活編はいかがでしたか?出産だけでも不安なのに、入院も少し長いなんて…と不安になるかもしれませんが、家にいるよりもゴロゴロ出来る時間もありますので、意外と快適です。すぐ近くに赤ちゃんと医学のプロが控えているという安心感もあります。退院したらゆっくり眠る時間は少なくなりますので、入院中はせっかくなのでたくさん休ませてもらいましょう。
では退院後はどんな感じなのか。困った事や帝王切開ならではの悩みはあったのか。それは『帝王切開の出産(育児編)』で述べていきましょう。

執筆者 浅丸千代乃

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