赤ちゃんの名づけはいつから考える?画数は気になる?
妊娠中の楽しみの一つに、赤ちゃんの名前を考えるというものがあります。図書館で名付け辞典を借りて来てにらめっこしたり、インターネットで名付けについて検索してみたり…多くのお父さんお母さんが楽しみにしながらも、頭を悩ませることの一つだと思います。
近年では、奇抜で難読な『キラキラネーム』やそれの対極に位置する非常に古風な『シワシワネーム』なんてものもあり、名前によって学校でいじめられないか、就職で不利にならないかなど、一昔前と比べて名付けに対して慎重になっているお母さん達も少なくないと思います。筆者も息子の名付けにかなり頭を抱えました。
今回は、『赤ちゃんの名付け』をどうやって考えていったか、またキラキラネームについての感想などを語っていこうと思います。
1)赤ちゃんの名前はいつから考えておけばいいの?
赤ちゃんが生まれるにあたり、考えなければいけない事は山ほどありますが、その中に『名前』も含まれますね。妊娠する前から「子供が生まれたらこんな名前をつけたい!」と考えている人も女性なら少なくないと思います。ですが、実際に赤ちゃんの名前を考え始めるのはいつぐらいからがベストなのでしょうか?
筆者が妊娠した時の事を思い返すと、考え始めなきゃいけない時期は特に無いけど、「ここまでに決めなきゃいけないな」と思った時期はあります。それは妊娠7ヵ月から8か月くらいまでです。
それくらいの時期になると、予定日よりだいぶ前でも何らかのトラブルで早く生まれる場合がありますので、最低でも8か月くらいには具体的な候補をいくつか挙げておいた方がいいなと思いました。
赤ちゃんの名前を考え始めるに当たり、よく耳にするのが「夫が名付けに真剣になってくれない」という悩みです。これ、筆者も経験し何度かブチギレそうにもなりました。ワクワクしながら名前を考えても「ふーん」みたいな反応だと、イライラしたりしますね。女性は日々赤ちゃんをお腹の中で育てますが、男性はそういったのがありませんので、『親になる』という自覚をすぐに持ちにくいというのが背景にある問題だと思います。
筆者は妊娠5か月くらいから漠然とではありますが、名前を考えていました。筆者が出産した病院は性別を教えてくれるところだったので、この時期から考えることができましたが、病院によっては性別を教えない方針だったりすることもあります。夫と相談しながら決めたかったのですが、先述したように夫がなかなか煮え切らない状態でしたので、名付け辞典を図書館から借りて来たり漢和辞典を引っ張り出したりして、候補を5つくらい挙げて「選べ!」と突き付けて、ようやく夫婦で決める事が出来ました。
2)名付けで重視したことは?字画数は気にした方がいいの?
赤ちゃんの名前を考えるに当たり、最も気を付けたのは『苗字とのバランス』『男らしさ』です。
『苗字とのバランス』というのは、声に出して読んだ時に違和感が無いか、文字にした時に不自然さや難しさが無いかというものです。例えば、『田』のような四角い漢字が並んでないかとか、読み方がダジャレのようになっていないかという点に気を付けて名前を考えました。名前だけだとカッコイイのに、苗字と一緒になると「なんか変…」という印象を持つ事って意外とありますからね。
『男らしさ』についてですが、現代では性別による「らしさ」というのは押し付けるものではないという考え方が非常に浸透しています。そういった世の中で名前に『男らしさ』を求めるのは、褒められる事ではないという考え方もあると思います。しかし、筆者は「男の子なんだし、中性的な名前よりも男の子にしかつけられない名前にしたい。日本男児だし」という意味で、漢字で二文字、ひらがなで四文字の名前にしました。私の中で、四文字の名前は男の子の特権!のようなイメージがあり、こうなりました。女の子だと「薫子(かおるこ)」や「桜子(さくらこ)」という名前が四文字ですが、男の子はバリエーションも豊富ですし、漢字の組み合わせも自由自在ですからね。
さて。多くのお父さんお母さんが気にする字画数による運勢占いですが、これについては筆者は気にしませんでした。というのも、この字画数の占いって多くの流派があり、流派によって字画の数え方も解釈の仕方も異なるのです。同じ漢字でもあっちでは良い意味なのに、こっちだと悪い意味…なんて事もあります。また、変える事の出来ない苗字からして運勢が悪い!という事もあります。苗字の字画数が良く無くて、どんな名前にしても良い運勢にしにくいという事もあります。筆者の家庭は最初から苗字の字画数が悪く、名前だけ良くしても意味ないじゃん!という思いもあり、字画数占いは無視しました。
3)人気のある赤ちゃんの名前は?
毎年赤ちゃんの名前ランキングが発表されますが、最近はどんな名前が人気なのでしょうか?2016年の明治生命から出されている名前ランキングは以下の通りです。
男の子
1位 大翔(ひろと等)
2位 蓮(れん等)
3位 悠真(ゆうま、はるま等)
4位 陽翔(はると等)
5位 朝陽(あさひ等)
6位 樹(いつき等)
7位 悠(ゆう等)
8位 陽太(ようた、ひなた)
9位 湊(みなと)
9位 新(あらた、しん)
9位 葵(あおい)
女の子
1位 葵(あおい等)
2位 さくら
3位 陽菜(はるな、ひな等)
4位 凛(りん)
5位 結菜(ゆうな、ゆいな等)
5位 咲良(さくら)
5位 莉子(りこ)
8位 結衣(ゆい)
9位 結愛(ゆあ等)
10位 花(はな)
2016年は男の子だと『翔』という字が人気のようですね。また、一文字の名前が多いのが近年の男の子の名付けの特徴のような気がします。女の子は『~~な』という読み方の名前が人気のようですが、『葵』や『さくら』といった古風な名前もランクインしています。他にも『ひかり』や『あかり』などのひらがなの名前も近年では多いようですね。ひらがなだと柔らかい印象になりますので、女の子ならではの良さがあるように思えます。
名前の変遷を見てみると、時代背景に左右されるのだと見て取れます。特に男の子は非常に分かりやすいです。戦時中は『勇』や『勝』といった戦時色の強い名前が人気で、戦後は吉田茂お影響で『茂』が大人気になりました。昭和30年代は美智子様ご成婚のいわゆるミッチーブームから『美智子』という名前が女の子の名付けで人気を博し、昭和60年代からは現代のような大自然にインスピレーションを得たようなものが多くなります。2000年代からは男女ともに中性的な名前が流行しています。
名前は時代を映す鏡とは、よく言ったものですね。
4)『キラキラネーム』ってどんなもの?
近年何かと話題になる『キラキラネーム』というものがありますね。本来は読まないような漢字の読ませ方をしたり、外国人のような名前だけど漢字を当てはめて無理やり読ませるような、難読で奇抜な名前の事を指します。元々は『DQNネーム』というネットスラングが土台になっているようです。
どんなものを『キラキラネーム』というのか、具体例をいくつか出してみましょう。
是留舵くん(ぜるだくん)
皇帝くん(ふらんつくん、しいざあくん)
七音ちゃん(どれみちゃん)
桜ちゃん(ぴーちちゃん)
アニメやゲームや漫画の人気キャラクターから取った奇抜な名前もキラキラネームに分類されます。アニメや漫画から名前を持って来るというと、一昔前だと『タッチ』の主人公である上杉達也や『キャプテン翼』の翼くん、『聖闘士星矢』の主人公のペガサス星矢が有名どころですね。今でこそ違和感の無い名前ですが、当時はキラキラしていたのかもしれませんね。
上記のものはどれも難読ですね。「皇帝くん」や「桜ちゃん」は本来の漢字の読み方は無視したものですので、一発で読める人はまずいないでしょう。
このようなキラキラネームは今に始まった事ではありません。織田信長の長男の幼名は「奇妙丸(きみょうまる)」、伊達政宗の長女は「五郎八(いろは)」といい、かなり風変わりな名前ですね。現代のキラキラネームに近いものだと、文豪の森鴎外の子供たちの名前でしょうか。
於菟(おっとー)
茉莉(まりー)
杏奴(あんぬ)
不律(ふりっつ)
類(るい)
見てわかる通り、どれもドイツ人のような名前ですね。これには理由がありまして、森鴎外がドイツに留学していた際に、自身の本名の「林太郎(りんたろう)」を上手く発音してもらえなかったことがショックだったことから、『子供たちが世界で通用するように』という意味を込めて、このような名前にしたそうです。森鴎外の子供たちは後に医師やエッセイストとして活躍します。
キラキラネームに関する筆者の個人的な意見ですが、どんな名前でも筆者は良いと思います。親が考えて考えて、考え抜いて、絶対にこの名前じゃないと駄目だ!こういう願いを込めるんだ!と強固とした意志がそこにあって、恥じる事無く堂々としていられるなら良いと思います。
ただ、「世界で通用するように、活躍するように」という願いを込めて外国人のような名前を付ける…まさに森鴎外ですが、このような理由でキラキラネームを考えてしまう親御さんは、一度冷静になってよく考えてみてほしいと思います。
世界で大活躍している日本人はとても多いです。メジャーリーガーのイチローこと鈴木一朗選手。サッカーの香川真司選手。ハリウッドで活躍する俳優の渡辺謙さん、真田広之さん。映画監督の北野武さん。美形女性指揮者の西本智実(ともみ)さん。いずれの方々も言い方は悪いですが、日本人にはありがちな名前です。同姓同名を探せばたくさんいるでしょう。
このように世界で活躍するのに名前は関係ないと思います。どんな名前でも活躍する人はしますし、しない人はしません。世界で大活躍する日本人に…という願いは非常に素晴らしいものですが、だからと言って「斗武(とむ)」とかつける必要はないんじゃないかな、と思います。
上記のような理由に限らず、キラキラネームを付けたいと思っている人は一度でも良いので友人や職場の人に相談した方が良いと思います。周囲の反応を見ると言う意味でも相談は大事ですが、それ以上に「ペットの名前と被る」というのを避けるためでもあります。
これは筆者が過去に経験した事なのですが、職場の人が生まれて来る子供につけようと思っていた名前が、筆者の飼っていたハムスターと同じ名前だったという事があります。あまりにも奇抜な名前だとペットと名前が被るという事がよくあります。ありがちなものだと『ここあちゃん』や『マックスくん』、『マロンちゃん』に『エースくん』辺りでしょうか。これらは犬猫の名前でたびたび耳にするものです。身近な人のペットと我が子の名前が一緒…というのはお互い気まずいでしょうから、早めに探りを入れておきましょう。
5)歴史上の人物から名前をもらうのは、あまり良くない?
キラキラネームとは対極に位置する、古風な名前のことを最近では『シワシワネーム』と呼ぶ風潮があります。そのシワシワネームの中には、歴史上の偉人から取った名前も含まれているようです。
どんなものかと言うと、例えばですが…
織田信長から取って、『信長くん』
北条政子から取って、『政子ちゃん』
伊達政宗から取って、『政宗くん』
土方歳三から取って、『歳三くん』
静御前から取って、『静ちゃん』
といった感じのものです。どれもかなり古風ですね。このように歴史上の人物から名前を取るというのは、昔からよくあることです。
実は筆者も筆者の兄も、ある歴史上の人物から名前をもらっています。筆者自身の本名は歴史好きなら「あぁ、あの人か!」とすぐに分かるレベルのもので、兄に関しては教科書にも出ているほど有名な幕末の偉人の名前です。筆者は女性だからなのか、それとも超メジャー級の偉人ではないせいか、そこまで苦労した事はありませんでしたが、兄は結構苦労する場面も多かったようです。
兄の名前はあまりにもメジャーすぎる人物から取ったものなので、すでに多くの人の中でその人物のイメージが出来上がってしまっています。それ故に苦労したのでしょう。
歴史上の人物から名前を取るというのは悪い事ではありません。とても素晴らしい事だと思いますが、超有名人物から取りたい場合は気を付けた方が良いでしょう。例えば、上記にも出した『信長くん』ですが、多く人が「安土城作って、比叡山焼き討ちして、本能寺で部下に裏切られて死んだ人」という事を想像します。大河ドラマでも色んな俳優が演じており、良くも悪くも完全にイメージが出来上がってしまっている人物です。そうなると多くの日本人がイメージした『織田信長』が一生ついて回ってしまう事になります。これを誇らしいと思うか、うんざりするかは子供次第ですが…。
超が付くほどのメジャーな人物から名前を取りたい場合は、ちょっと捻った方が良い事もあります。「織田信長のようにカリスマ性のある人になってほしい」という願いを込めるなら、もろに『信長』とするのではなく『信』だけを取るとか、漢字を変えてみるとかした方が良いと思います。女の子ならそこまで気にする必要も無いのですが、男の子の場合はちょっとだけ考えてあげた方が良いのかもしれないなと、兄を見ていて思いました。
6)赤ちゃんの名づけまとめ
赤ちゃんの名付けについて述べてきましたが、いかがでしたか?名前は人生で一番最初の贈り物ですので、多くの人が悩んで話し合って、そうやって決めていくと思います。しかし、なかなか人に相談しにくい面を持っているのも、名付けの難しいところですね。気軽に誰かに聞いてみてもいいのかしら?と悩むこともあると思いますが、こういう事は一人で悩むよりもどんどん人に相談して色んな意見を聞いた方が良い方向に向かう事だと思います。同じ読み方の名前でも、自分が考えたのとは違う漢字を教えてもらえたりして、候補の幅が広がります。また、誰かから名付けで相談されたら遠慮せずに率直な意見を言ってあげた方が本人のためになると思います。キラキラネームの項目で述べた、ペットと同じ名前だった時などはまさにそれですね。出生届を出した後に「実は…」と打ち明けるのも酷な話ですから、早めに言った方が良い場合もあります。
ちなみに筆者の夫の名前は、夫が生まれた後に考えて名付けられたようです。予定日間近になっても名前が決まらず、そのまま出産になり、生まれて来て顔を見てから義父が名前をつけたそうです。事前に名前が決まらなかったとしても、赤ちゃんの顔を見て決めるというのも有りですね。
執筆者 浅丸千代乃