豪快!仙台どんと祭り
どんと祭とは?
どんと祭とは1月14日夜から15日早朝にかけて行われる、火祭りの一種です。
神社の境内に不要になった門松や注連縄飾り、お守りを積み上げて忌火(いみび、清浄な火の意)によって点火され焚き上げられます。
燃え上って大きな炎になりますが、これが正月に各家を訪れていた歳神様を送る御神火として、それにあたると心身が清められ、一年間様々な加護を得る事ができると言われています。
他の県でも似たような祭りがありこれは『左義長(さぎちょう)』と呼ばれています。
どんと祭がいつから始まったのかは定かではありませんが、宮城県内で最も盛大に行っている大崎八幡宮のどんと祭、松焚祭(まつたきまつり)は300年以上の歴史を持つと言われており、少なくとも仙台では藩政時代から正月飾りを燃やして一年の平安を祈る風習があったものと考えられます。
裸参りとは?
どんと祭では必ずと言って良いほど見られる光景が『裸参り(はだかまいり)』です。読んで字の如く、男性は白鉢巻、白足袋、腹に白サラシ、わらじ姿の裸にほぼ近い格好の男衆が主役です。
<2015年仙台 どんと祭・裸参りの様子:大崎八幡宮>YouTube
※動画が削除されています。
『裸参り』の方法は江戸時代末期に書かれた史料にも書かれており、今もそのままの方法で行われています。
まずは水垢離(みずごり、冷や水に当たって願掛けをし心身を清める事)をし、上記のようないでたちに私語を慎むために「含み紙」を呼ばれる紙をくわえ、右手に鐘、左手に提灯を持って静かに御神火の周りを練り歩きます。含み紙には他に、神に息を吹きかけないためという意味も込められているという説もあります。
近年では女性も参加することができ、女性の場合は一枚上に羽織を着ます。また、低温での裸参りは身体に負担をかけますので、事前に健康診断を受ける事を義務付けている団体もあり、年々参加する条件は厳しくなっています。
それでも参加を希望する人は多く、外国人留学生が裸参りに参加している様子も多く見られるようになりました。
どんと祭り開催地
仙台市内、宮城県内の神社で主に行われています。主要な開催地は以下の通りです。
・大崎八幡宮(仙台市青葉区)
県内最大規模のどんと祭を開催しています。地下鉄が最も行きやすいです。
地下鉄の場合→地下鉄東西線泉中央行き「北四番丁」駅下車。
バスの場合→JR仙台駅前西口バスプール10番「大國神社前行き」市営バスで約20分。「大崎八幡宮前」下車すぐ。
・竹駒神社(宮城県岩沼市)
歴史が古く初詣の時には東北の中でも1,2を争うほどの参拝客が訪れる神社。どんと祭でも参拝客が非常に多く、神社の規模に恥じない賑わいを見せています。
電車の場合→JR仙台駅より上り方面(白石行き、浜吉田行き)東北本線・常磐線乗車(20分)、JR岩沼駅下車し徒歩で20分
車の場合→仙台東部道路岩沼ICから車で10分
・仙台東照宮
日光東照宮の流れを汲んでいる徳川家康を祀っている神社です。近隣に小学校や中学校が多いため、参拝客は家族連れやお子さんが非常に多いです。社に続く長い石段の途中に設けられた大きなクレーターのような場所が御神火を焚く場所になっており、その炎の大きさは圧巻です。
電車の場合→仙台駅よりJR仙山線(山形方面)乗車(4分)、東照宮駅より徒歩3分
バスの場合→仙台駅西口バスプール発17番のりば宮町経由南光台・旭ヶ丘行き宮町5丁目下車徒歩3分
どんと祭の屋台はどんなもの?
お祭りなのでどこに行っても屋台が軒を連ねています。冬場なので甘酒や豚汁、場所によっては芋煮もあります。これは宮城ならではといったところでしょうか。
ほとんどの屋台は、お好み焼きや大判焼き、たこ焼きといった代表的なものばかりです。
しかし、宮城県仙台市独特の屋台なのか、他ではあまり見ない屋台が存在します。
それは、『芭蕉せんべい』です。
これは平たく薄いかき餅ですが、砂糖が入っているため甘めの味付けになっています。
芭蕉の葉のような形から芭蕉せんべいと呼ばれているようですが、仙台では『たぬきせんべい』とも呼ばれています。何故かは不明です。恐らく天かすのような食感だからかもしれません。
この芭蕉せんべいは、屋台だと七輪であぶり菜箸でこすりながら何度も裏表に返して膨らませて伸ばして作っていきます。
作るのには技術が必要で、ほとんどの場合はかなり高齢の女性が5,6名で作り続けています。せんべいの大きさは約30cmと大きく、値段は5枚入りで500円くらいです。
どんと祭に行ったら屋台で芭蕉せんべいを買って帰るというのが、仙台っこの冬の風物詩になっています。
しかし芭蕉せんべいの発祥は不明な点も多く、元は大阪銘菓だという話もあります。大阪のお菓子がなぜ仙台の屋台にあるのか、これはちょっとしたミステリーですね。
どんと祭り仙台のまとめ
どんと祭は宮城県に住む人にとって真冬の風物詩です。宮城県民が東京に行って「どんと祭はいつやるんだ?」と思っていたら、そもそもどんと祭は東京でやっていない!と知ってカルチャーショックを受けたという話をよく聞きます。それだけ、この祭りが宮城県民の生活に密着したものになっているのです。
私は仙台東照宮のどんと祭に小さい頃からよく行っていたのですが、御神火が普段の生活では絶対に見る事の無い炎の大きさですので、子供心にとても驚き興奮したのを覚えています。
どんと祭の後、焚かれた御神火が消されて4月の春祭りになっても、その場所の土は黒ずんで焦げ臭く、その匂いが次の冬を予感させるものになっていました。大人になって仙台を離れた今、冬になるとどんと祭の炎と甘い芭蕉せんべいが懐かしくなります。
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